セガサターン仕様

セガサターン仕様

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【次世代機戦争】

8ビットマシンから16ビットマシンへと進化してきた家庭用ゲーム機。その進化はとどまることなく、家庭用ゲーム機は処理スピードや画像処理能力が格段にアップした“次世代機”と呼ばれる32ビットマシンの世界へ突入する。

1994年3月に登場した松下電器「3DO REAL」を皮切りに、94年11月には「セガサターン」、12月には「プレイステーション」、「PC-FX」が発売。そして少し間をおき1996年6月には「ニンテンドー64」が発売され、熾烈なシェア争いが繰り広げられた。

これらの現象は「次世代機戦争」とも呼ばれ、ゲーム業界のみならず、広く一般の注目を集めた。日本においてサターンはセガの歴代コンソールとしては最も好調な売り上げを発売から記録し、1996年まではプレイステーションと互角に渡り合っていた。

セガハードの中では日本市場で最も売れたセガサターンは、実は世界市場では過去最も売れなかった。

日本国外に展開したセガ歴代コンソール(セガ・マーク III、メガドライブ、セガサターン、ドリームキャスト)の中で、唯一1000万台を下回っている。

サターンは、当時のアーケードゲームと比較しても高水準の2D描画機能を搭載、変形スプライトによる3D描画を用いることもできた。

セガの読みでは2Dゲームが主流で3Dゲームに移行するのには時間がかかるだろうと見ていた。

しかしながら、時代は急速に3Dゲームが主流になっていくのであった。競合のプレイステーションに比べて3D表現力が劣ることもあり、またドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーシリーズなどがプレイステーションのみで発売されたこともあり、劣勢を覆すことが出来なかった。

型名 HST-3210
CPU メイン :SH2(28.6MHz、25MIPS)×2
サウンド:68EC000(11.3MHz)
メモリ ワークRAM 16Mビット
ビデオRAM 12Mビット
サウンドRAM 4Mビット
CDバッファRAM 4Mビット
IPL ROM 4Mビット
バックアップRAM 256Kビット
グラフィック 解像度 320×224ドット他
同時発色数 1677万色
パレット発色 2048/1024色
スプライト 拡大縮小、回転、変形スプライト
スクロール 最大5面
XYスクロール面 4面
回転スクロール面 2面
拡大縮小面 2面
ウィンドウ面 2面
特殊機能 横ラインスクロール
縦セルスクロール
拡大縮小
CG性能 ポリゴン 専用ハードウエア搭載
特殊機能 ワイヤーフレーム
フラットシェーディング
グローシェーディング
サウンド PCM音源または
FM音源 32CH(量子化数16ビット、サンプリング周波数 MAX44.1kHz)
オーディオDSP搭載
その他 CDドライブ インテリジェント倍速CDドライブ
使用電源 AC100V±10% 50/60Hz
消費電力 約15W
使用環境 温度  5~35度
湿度 20~80%RH(結露なきこと)
外形寸法 260mm(W)×230mm(D)×83mm(H)
付属品 電源コード、ステレオAVケーブル、取扱説明書、コントロールパッド×1、リチウム電池(CR2032)

CPU

メインCPU(Central Processing Unit)に日立製作所(現・ルネサス エレクトロニクス)の32ビットマイコン、SH-2を2基搭載している。SH-2は1992年に登場した制御用マイコンSH-1の後継で、セガサターンの仕様に合わせていくつかの機能強化が行われている。

動作周波数の向上

20MHzから28.6MHzへ上昇させた。なお、28.6MHzはビデオ出力の同期タイミングと一致する。

除算器の搭載、乗算器の高精度化

SH-1から新規に除算器を搭載した。また乗算器を16bit×16bit=32bitから2bit×32bit=64bitへ高精度化し、これらにより投影変換などジオメトリ演算を実用的な精度や速度で実行することが可能となった。

マルチプロセッサ機能

2基のCPUは内部にあるバスアービトレーション機能によりコミュニケーションをとる事ができる。

セガサターンは共有メモリ構成であるため、命令やデータがCPU内のキャッシュにヒットしている時や内部2kバイトのメモリへのアクセス時などは同時に演算させることが可能となる。

またユーザブレーク機能で外部バスサイクルによるブレークを行えばキャッシュコンシステンシを保つことも可能であり、マルチコアシステムを構築することもできる。

ただしキャッシュ容量の制限や、もともと1基で設計したものに後から追加したことなどにより、2基分のパフォーマンスを得ることは容易ではなく、大方のゲームタイトルではサターンを単にシングルプロセッサのシステムとして使用することを選択した。

SDRAMインタフェースの搭載

当時策定されたばかりのSDRAMインタフェースを搭載し、データ転送能力を従来よりアップさせた。

SH-2は制御用マイコンであり、16ビット命令語長を基本とするなど小メモリ構成のシステムに向いた特長を持っている。概してこの当時のゲーム機器は限定された環境であり、セガサターンはメインメモリは2Mバイト、キャッシュも4kバイトと小容量だった。

開発当初は1CPUのアーキテクチャとして開発が進められたが、他社競合機がより高い演算性能を持つことが判明、演算能力の大幅な向上を迫られることとなった。

当時残された開発期間の短さなどにより、2基のCPUを搭載する方向へとそのアーキテクチャを変更した。

さらにSCU(System Control Unit)内蔵のDMACやDSPとの連携も行っている。

またサブCPUとして、サウンド処理にMC68EC000、CD-ROMドライブの制御にSH-1が搭載されており、各種の処理を並列化する非常に贅沢なアーキテクチャを持つ。

VDP

VDP(Video Display Processor)はCPUなどがVDPにデータや命令を送ることで画像の描画や表示を行うデバイスで、セガサターンを特徴付ける描画の多彩さを担っている。

セガサターンでは2基のVDPを搭載し、スプライトおよびポリゴン機能(VDP1)と、BG(バックグラウンド画面)機能(VDP2)に処理を分散している。

VDP1

VDP1は変形スプライトやポリゴン、ポリライン、ラインなどを描画するデバイスで、スプライトゲームのデカキャラから3Dゲームのポリゴンオブジェクトまで様々な表現が可能である。

4MビットのVRAMと2Mビット×2個のフレームバッファを接続しており、320×224から704×480までの解像度に対応している。

旧来のゲーム機において標準的だったラインバッファによる横方向の表示制限はなく、フレームバッファ上に描画して出力する構造である。

スプライトおよびBGに関しては、セガが当時主力としていた業務用ゲーム基板のシステム32以上の機能や性能を有しており、同時代のゲーム用VDPとしては最高水準の一つだった。

その一方で、例えば半透明処理に機能的な制約がありメッシュ機能で代用される場合も多いなど、ポリゴン描画機能にはいくつかの制限があり、3D表現の自由度は競合機、特にプレイステーションのGPUと比較し低かった。

ポリゴンがスプライトで表示されるため「疑似ポリゴンでポリゴンではない」と説明されることがあるが、ポリゴンは多角形の組み合わせで物体を表現するものであり、四角形であろうとスプライト表示であろうと間違いなくポリゴンである。

正しくは「専用の3D表示プロセッサを持っていない」である

VDP1単体の描画性能は最大50万ポリゴン/秒、テクスチャ付きでも10万ポリゴン/秒だが、セガサターンのシステムとしてみた場合、ピクセル描画性能やCPUが担当するジオメトリ演算性能などに制限され、最大描画性能が出ることはない。

VDP2

VDP2が担当するBG機能は、拡大縮小・回転等が可能な独立したBGを5面もつなど、当時の水準ではきわめて強力なものを搭載しており、特に業務用ゲームなどの移植においてはその威力を遺憾なく発揮した。

VDP2から見たVDP1はBG面の1つという位置付けであり、他のBG面と同様な合成処理が可能である。

メモリ構成

セガサターンのアーキテクチャにおいて特筆すべき点のひとつとして、同時代の家庭用ゲーム機としては豪華なメモリシステムがある。

メインメモリに2Mバイト、ビデオメモリに1.5Mバイト、サウンド、CD-ROMバッファメモリにそれぞれ0.5Mバイトの計4.5Mバイトもの容量を搭載し、なおかつそれぞれの機能ブロックがサブシステムとして独立しているため、各システムが並列的にアクセスすることができた。

特に、プログラムとデータの大部分を格納するメインメモリのうち前半の1Mバイト、およびビデオメモリの全てに高速なSDRAMを用いており、ボトルネックを引き起こしにくい構造としている。

メインメモリの後半1Mバイトは通常のDRAMだが、後述するスロットによってROMまたはRAMを拡張することができ、競合機と比較すると潤沢かつ強力なメモリ環境を実現していた。

またCD-ROMサブシステムのバッファメモリによりCD-ROMメディアのアクセス時間が軽減され、特に格闘ゲーム等の頻繁にローディングを要するゲームなどに活用された。

CD-ROM

ソフト媒体として、倍速のCD-ROMドライブを内蔵した。

セガサターン用のCD-ROMは外周に海賊版対策のための「サターンリング」と呼ばれる特殊な領域を持っており、通常のCD-ROMと比べると容量は少ない。

カートリッジスロット

セガサターン拡張ラムカートリッジ(1MB)の中身(基板) 171-7328A

本体上部に、カートリッジを差し込むためのスロットが存在する。

このスロットを使ってそれ以前のゲーム機と同様にロムカセットでソフトを供給することも考慮されていた。

また、バス信号のほとんどが出ていたため、メガドライブに対するメガCDやスーパー32XのようなCPUアクセラレータ、グラフィック機能の拡張なども仕様上は可能だった。

しかし最終的にその様なソフト及び拡張機器が発売される事は無かった。

周辺機器を接続するものとしてはセガサターンモデム、ビクターのモデムなどでカートリッジスロットが使用された。

当初はゲームのデータセーブエリアを増やすフラッシュメモリカートリッジ「パワーメモリー」のために使われるのが一般的だったが、データの読み込み時間を軽減するためにCD-ROMとロムカートリッジとを併用する「ツインアドバンスドROMシステム」構想が発表され、『ザ・キング・オブ・ファイターズ95』と『ウルトラマン 光の巨人伝説』の2本に採用された。

また、特定のゲーム専用のROMではなく、汎用的に扱えるようにサターンのRAMを拡張することで同様の効果を得られる「拡張RAMカートリッジ」が発表され、メタルスラッグ等のアクションやCPS-2システムのカプコンの格闘ゲーム等が競合機を上回るアニメーションクオリティで移植された。

後に「拡張RAMカートリッジ 4MB」なども発表され「X-MEN VS. STREET FIGHTER」や「マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター」などに使われた。

このスロットは従来のROMカートリッジスロットを採用していたゲーム機と比較するとピンの幅が狭く、端子の接触面積が少ないことから接触不良を起こしやすかった。

拡張RAMカートリッジが必要なソフトをプレイするためパワーメモリーの抜き差しを繰り返すうちに、パワーメモリー内のセーブデータが全て消去される事故が多発した。

コスト、上位非互換

CPUなどを始めとした部品点数の多さや複数社からの半導体の採用は、後々の再集積化やチップシュリンクによるコストダウンを困難にする原因となった。

末期には2基のCPUやVDPをワンチップ化するなどのコストダウンも図られたが、コストを大幅に引き下げる事は出来なかった。

またデュアルCPUをはじめ、並列処理を行う周辺プロセッサ等の多さなどにより、上位互換機や完全なゲームエミュレータの開発には要求性能が著しく高く、同時代の競合他機種と比較するとその実装は困難と言われている。

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